白杖による誘導部案内の線状突起形状の検出に関する研究4 実験結果のまとめ
2012.11.5
本研究は、屋内空間の誘導システムの構築を目的とし、突起高さ2mm以下の屋内用点字ブロックの線状突起形状および点状突起形状の検討を行なったものです。
研究1では、複数の線状突起形状を静止状態で検知する実験を行い、検知しやすい形状を確認しました。
研究2では、複数の線状突起形状に対して10mの歩行実験を行い、歩行時の辿りやすさを確認しました。
研究3では、検知しやすい点状突起形状に対し、複数の線状突起形状と組み合わせた際の識別し易さを確認する実験を行いました。
その結果を以下に示します。
1)静止状態での検知実験より、静止した状態の検知の確信度には突起高さと突起本数が影響している。
2)10mの歩行実験より、10m歩行の速度やエラーでは、各試料に差はないものの、歩行中の検知しやすさの評価では、突起高さに関係なく突起本数は3本、突起本数が2本、突起高さ2mmの評価が高い。
3)点状突起と線状突起の識別実験より、線状突起本数が多くなると検知率は悪くなる。
4)以上の実験結果より、線状突起形状に関しては、突起本数が多いほど、検知しやすいが、点状ブロックと組わせると突起本数が少ない方がよい。
仮に、静止状態での検知実験で確信度の閾値を4、10mの歩行実験でJISに比べて有意に評価が低くない、点状突起と線状突起の識別実験で検知率を80%以上と考えると、屋内用点字ブロックの線状突起形状および点状突起形状は、突起高さ2mm、線状突起本数2本、点状突起の直径20mmあるいは30mmの突起増設型千鳥配列となる。
本研究は、平成23年度日本学術振興会科学研究費補助金奨励研究によって実施されました。
出典:白杖を用いた視覚障害者誘導用線状突起形状の検出に関する研究-
日本福祉のまちづくり学会第13回全国大会梗概集,柳原 崇男,桑波田 謙,原 良昭